おっぱいをやめる時期(断乳と卒乳)
2015.09.28
1歳になったら「断乳」していた
「うちの子、そろそろおっぱいやめどきかな」という完全離乳(乳離れ)の時期。一般的には、どうやって決めているのでしょう。
昔は、赤ちゃんが「1歳」になったら母乳を与えることを完全にやめる、文字通り「乳を断つ=断乳」が勧められていました。
「母乳だけでは赤ちゃんの発育に十分な栄養価がとれない」、「虫歯になりやすい」、「自立心のない子どもに育つ」と言われていたのです。
昭和の時代、厚生省(現・厚生労働省)の指導でも、離乳の完了時期を通常12~15か月頃、遅くとも18か月頃としていて、「1歳健診」や「1歳6か月健診」では、お母さんに「断乳」したかどうかを確認していました。
2歳ぐらいまでに「卒乳」
最近は母乳の栄養的価値が見直されるとともに、親子のスキンシップの観点から、1歳以降も無理に母乳をやめさせる必要はないという考え方が主流になっています。
平成14(2002)年4月から、母子健康手帳から「断乳」という言葉がなくなりました。
ユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)は「生後6カ月まで完全母乳育児を行い、その後は適切な食事を補いながら、2歳かそれ以上まで母乳を続ける」ことを推奨しています。
その理由は、母乳には病気に対する免疫が含まれており、母乳育児により、新生児が死亡する確率がグンと低くなるからです。
これは、国民全体の栄養事情がよくない諸外国の事情を踏まえての勧告ですが、日本においても完全離乳の時期は、昔よりも遅くなっている傾向が見られます。(表参照)。
一般調査による離乳の開始月齢及び完了月齢、平均値、出生年次別
(厚生労働省 平成22年度乳幼児身体発育調査)
平成22(2010)年は離乳を開始した月齢は平均5.3か月、完了した月齢は平均14か月(1才2か月)でした。
生後5~6か月未満で約5割が離乳を開始しており、生後1年3~4か月未満で8割の子どもが離乳を完了しています。
今は、いつまでに母乳をやめなければならないという決まりはなく、赤ちゃんが自然におっぱいを欲しがらなくなるまで待つ「卒乳」という考え方が広がっています。
卒乳も1歳がだいたいの目安ですが、実際には、母乳が出なくなったり、赤ちゃんに乳歯が生えてから、噛まれるので授乳がつらくなったりなど、さまざまなきっかけで母乳をやめることが多いようです。
世界的な卒乳の平均年齢は4.2歳という説がありますが、この裏付けとなるデータは定かではありません。
ユニセフの「世界子ども白書2015」によれば、世界では6~8か月で離乳を開始する割合が65%、2才児での母乳育児は49%でした。つまり、世界レベルでみると、2才で離乳が完了している割合は2人に1人ということになります。
赤ちゃんの成長と発達の度合い、個々の生活に応じて、卒乳の時期はママが決めるといいでしょう。
(参考)
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査報告書」