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給食、大好き!

2016.07.07

 

日本の学校給食のはじまり

子どもたちが学校で楽しみにしている時間のひとつが、給食!

日本の学校給食は海外でも評価が高く、小学校での給食の様子を撮影した動画が世界中で話題になったり、『ドイツは日本の学校給食から学べるか』という本がドイツで出版されたりなど、子どもの発育と教育を支えるすぐれた国の制度として、近年注目されています。

文部科学省「平成26年度学校給食実施状況等調査」によると、現在、学校給食を実施している学校は全国で31,021校。小学校では実に99.2%、中学校では87.9%が給食を行っています。

文献によると、明治22(1889)年(明治25年という説もあり)、山形県鶴岡市の大督寺境内にあった私立忠愛小学校が、貧困家庭の子どもに提供したのが、日本の学校給食の始まりといわれています。おにぎり、焼き魚(塩鮭)、漬け物という簡単なものでした。その後、大督寺境内には「学校給食発祥の地」という記念碑が建てられています。

全国で学校給食が実施されるようになったのは、戦後になってからで、アメリカから無償で与えられた「ララ物資」(Licensed Agencies for Relief in Asia)による脱脂粉乳を配るために、昭和22(1947)年からスタートしました。
それから、全国の小学校で完全給食が実施されたのは、1952(昭和27)年のことです。

 

学校給食から広がる流行

平成の今、学校給食は一大ムーブメントとなっています。
たとえば、全国各地のご当地グルメの中には、元々は学校給食のメニューだったものがいくつもあります。

三重県津市発の「津ぎょうざ」は、昭和60(1985)年頃から作られている、学校給食だけの人気メニューでした。それが、平成20(2008)年に一般販売され、今では津市の飲食店で食べられるご当地メニューとなっています。

また、「キムタクごはん」は約14年前に長野県塩尻市で学校給食に登場したメニュー。キムチとたくあんがメインのしょうゆ味の混ぜごはんで、平成24(2012)年には、長野県内の大手コンビニエンスストアで「キムたくチャーハンおむすび」が販売されました。

愛知県名古屋市発祥の「おぼろみそめん」は、地元の赤味噌や棒はんぺんを使った味噌風味のあんをソフト麺にからめる学校給食メニュー。昭和47(1972)年から作られているメニューですが、平成23(2011)年にテレビ番組で取り上げられ、全国的に知名度がアップしたとか。

さらに近年は、全国各地に昭和の学校給食を再現したメニューを提供するレストラン、カフェ、居酒屋が続々出現しています。
・「給食当番」(東京都台東区)
・「きゅうしょくのおばさんカフェテリア」(東京都八王子)
・「おいしい学校 『和食古宮』」(山梨県北杜市)
・「個室居酒屋6年4組」(大阪・東京・福岡・京都)
・「がっこーにいこう!」(静岡県御前崎市)
・「みんなの学校給食」(静岡県静岡市)
・「学校食堂」(広島県 神石郡)
・「カフェ&バー ブルヴァール」(大分県豊後高田市)

こうした店は、学校の教室を模した内装であったり、廃校を利用したりなどで、小中学校時代にタイムスリップした感覚をお客に味わわせることをコンセプトにしています。
食器も昭和40 年代~50 年代頃のアルマイト製やステンレス製のランチ皿・カップ・先割れスプーンが使われており、メニューも「揚げパン」「コッペパン」「ソフト麺」など、昭和の給食メニューを忠実に再現し、人気を博しています。
最近では給食レシピ本も話題です。このように多くの大人が学校給食に引きつけられるのは、なぜなのでしょうか。

 

もう一度食べたい給食メニュー

実際のところ、大人は昔の学校給食をどう思っているのでしょう。
アサヒグループホールディングスが運営する『青山ハッピー研究所』(ハピ研)では、平成22(2010)年3月17日~23日に、全国の20歳以上の男女1,691人に「思い出の学校給食の味」をテーマにインターネット調査を行いました。

世代別給食
「『学校給食』が好きだった?」という問いでは、全体の7割が「好きだった」と回答しています。
しかし、世代別に見ると、50代以上は「好きだった」という回答の比率がやや少なくなっています。(注:6年前の調査です)
70代以上では、4割が「お弁当だったため、給食の思い出はない」と答えています。「終戦直後で、現在のような給食ではなく、特に脱脂粉乳は飲めたものではなかった」という意見も多く見られました。

思い出の給食

「思い出に残っている学校給食メニュー」では、第1位は「くじら料理(竜田揚げ、南蛮漬けなど)」(41.9%)でした。商業捕鯨の禁止によりあまり食卓に上る機会がなくなった昨今、鯨肉の味をとても懐かしく感じる人が多いようです。
2位は「揚げパン」(38.4%)3位は「ソフト麺(カレー麺)」(29.2%)でした。

4位にランキングした「カレーライス・カレーシチュー」は、20代では36.3%ですが、30代で32.9%、40代で28.7%と年代が上がるごとに減少しています。昭和51(1976)年に学校給食に米飯が正式導入されたのですが、学校給食はずっとパンや麺類が中心で構成されていたため、上の年代には「ご飯もの」のメニューはあまりなじみがないようです。

また、10位に「脱脂粉乳」(12.3%)が入っていますが、もしかしたら「まずかった」ことが強烈なインパクトとして記憶に残っているのかもしれません。

 

平成の子どもたちに人気の給食メニュー

それでは、今、平成の子どもたちにはどんな給食メニューが人気なのでしょう。

パルシステム生活協同組合連合会は、平成25(2013)年9月20日~9月26日「学校給食に関する調査2013」をインターネットで行いました。給食を実施している小学校に通う小学生の子どもを持つ30~49歳の母親1,000名に、子どもの給食について聞いています。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)

子どもに人気メニュー

「子どもが喜ぶ給食メニュー」の第1位は「カレーライス」(75.1%)で、実に小学生の4人に3人が「給食のカレーライスが好き」という結果です。2位は「鶏のから揚げ」(69.0%)3位は「ハンバーグ」(62.0%)

この調査で、小学生の母親が「学校給食を通じて、子どもに “身につけて欲しい”、“学んで欲しい”と期待していること」をたずねたところ、「食べ物の大切さ」(82.9%)が最も多くなり、「食事ができることへの感謝の気持ち」(74.1%)、「“いただきます”、“ごちそうさま”の挨拶」(71.1%)、「食材の栄養、栄養のバランス」(64.7%)、「正しい食事の作法」(51.8%)が続きました。

後期高齢者世代のじいじ・ばあばにとっては、「(配給の脱脂粉乳など)おいしくはなかったけれど、食べ物があることがありがたかった」という学校給食。
時代が変わった今でも、学校給食を通して、パパ・ママたちは子どもたちに「食べ物の大切さ」を理解し、「食事ができることへの感謝の気持ち」を抱いてほしいと願っているようです。
近年は「食育」という考え方が一般的になりましたが、昭和の時代からずっと学校給食が、日本人の「食育」を支えてきたと言えるのかもしれませんね。

(参考)
「キムタクごはん」「津ぎょうざ」も給食発祥!大人も子どもも大好きな給食に注目!|news|小学館ファミリーネット

懐かしい学校給食が食べられる全国のレストラン・昭和なレトロ感を満喫できる居酒屋 12選 – Middle Edge(ミドルエッジ)

思い出の学校給食の味は? ハピ研|アサヒグループホールディングス

学校給食に関する調査2013|パルシステム

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