パパ・ママはどんな世代?
2016.05.05
安定志向のパパ・ママ世代
前項で現在のじいじ・ばあばが属する「団塊世代」「しらけ世代」「バブル世代」という3つの世代についてふれました。
この後に生まれたパパ・ママは、よく「団塊ジュニア世代」「ミニマムライフ世代」「ゆとり世代」という3つの世代に分けて評されます。
じいじ・ばあばの血気盛んだった「団塊世代」、個人消費に熱心だった「しらけ世代」、イケイケドンドンだった「バブル世代」に対して、今のパパ・ママはどんな世代なのでしょうか。
団塊ジュニア世代
団塊世代の子どもたちを核とする「団塊ジュニア世代」は、昭和46(1971)~59(1984)年生まれです。一般的には昭和46(1971)~49(1974)年生まれを「団塊ジュニア」と呼び、その後の昭和50(1975)~59(1984)年生まれを「ポスト団塊ジュニア」と言います。
現在32歳~45歳のこの世代は、日本経済が右肩上がりの時期に、物質的に恵まれた子ども時代を過ごしました。
しかし、平成3(1991)年のバブル景気の終了と同時に、平成5(1993)年~17(2005)年の「就職氷河期」を迎えます。大学を卒業しても内定をもらえず、派遣社員やフリーターになった人が多いこの世代は「ロストジェネレーション(ロスジェネ)」とも呼ばれています。
○団塊ジュニア世代の特徴
・同世代が比較的多いため、受験や就職などで常に競争にさらされた。
・バブル期に幼少期、学生時代を送ったため、子どもや若者を対象とするマーケティングのターゲットとなった。
・1990年代後半に「コギャル」、「チーマー」が出現した。
・不況が続くなか、上の世代のツケを払わされているという被害者意識が強い。
・物質的な豊かさよりも精神的な充足を求めるため、「自分探し」や「自己啓発」が好き。
・いい会社に就職できた「勝ち組」と、希望の就職ができなかった「負け組」、大成功した「超勝ち組」が混在する。
○団塊ジュニア世代の家族・子育て観
・団塊世代の母親と団塊ジュニア世代の娘は「友達親子」と言われるほど、結びつきが強い。
・正規労働者の7割が結婚している一方、非正規労働者の8割近くが未婚という格差が大きい。
・「婚活」「街コン」などに熱心で、結婚願望はそれなりに強い。
・「草食男子」と呼ばれる、異性に対して淡白な男性が比較的多い。
・理想の男性像は、腰が低い「低姿勢」、正社員「低リスク」、家事分担をしてくれる「低依存」の「三低」。
・女子の方が男子よりも大学(短大)進学率が高い世代。バリバリ働く女性は婚期や出産が遅くなる傾向があり、平成23(2011)年、第一子出産時の母親の平均年齢が初めて30歳を超えた。
・積極的に育児に参加する「イクメン」が台頭し始めた。
・自分が常に競争にさらされていたため、子どもを「勝ち組」に入れるために教育に金を惜しまない。子どもの塾通いが低年齢化。
ミニマムライフ世代
ミニマムライフ世代は、昭和55(1980)~昭和63(1988)年生まれ。現在28歳~36歳。上は「団塊ジュニア世代」、下は「ゆとり世代」と重なっています。
小学生でバブル崩壊、中学で阪神淡路大震災、オウム真理教事件、大学では米国同時多発テロ、大学卒業後は就職氷河期と、大きな事件や天災が度重なり、ストレスフルな子ども時代を送りました。そのため、将来のリスクに備え、消費を抑えて生活を切り詰める傾向から、「ミニマムライフ(シュリンク)世代」、または「プレッシャー世代」と呼ばれています。
○ミニマムライフ世代の特徴
・将来を不安視しているため、収入の多くを預貯金に回す。
・「車に乗らない」「酒を飲まない」嫌消費傾向。
・生活や人生を縛るものを持ちたくない。
・「ラク」が一番。
・傷つくのが嫌い。
・損をするのが嫌い。
・人生に手ごたえを求めている。
○ミニマムライフ世代の家族・子育て観
・一定の生活レベルを保とうとするため、男女ともに共働き志向。
・束縛される状況を極端に嫌がるため、非婚・晩婚化。
・理想の男性像は、「平均的な年収」、「平凡な外見」、「平穏な性格」の「三平」。
・子どもの教育には熱心で金を惜しまない。
ゆとり世代
「ゆとり世代」とは、平成14(2002)年度に施行された学習指導要領による教育(ゆとり教育)を受けた世代です。昭和62(1987)~平成6(1994)年生まれで、現在23歳~29歳。
「ゆとり教育」とは、文部科学省がそれまでの知識偏重の詰め込み教育からの脱却を図り、学習する過程や経験を重視して作った新たなカリキュラムを指します。平成14(2002)年度から「学校5日制」となったことで、授業時数が減り、学習内容がかなり減らされました。
その結果として、子どもの学力低下が社会問題となり、OECDの国際学習到達度調査(PISA)で、日本が毎回順位を落としたことが決定打となりました。こうした状況に親たちが危機感をもったことから、特に首都圏での私立中学受験者数が激増。
さらに、団塊ジュニアの出生数がピークを迎えた後、年々出生率が下がったことで、少子化問題が表面化したのがこの世代。人口が少ないので、同世代同士の競争は緩くなっています。大学受験では、国の規制緩和により大学数が増加する一方で、推薦入試やAO入試の合格者比率が増え、昔ほど苦労することなく大学に進学できるようになりました。
上の世代より学校で教えられる学習内容が少ない割には、苦労することなく進学できたことから、「ゆとり」という言葉は本来の意味から離れ、「一般常識を知らない」「苦労知らず」などのマイナスイメージでとらえられるようになったのです。
○ゆとり世代の特徴
・昭和62(1987)~昭和64(1989)年生まれの「ゆとり第一世代」は、生まれた頃はバブル景気、子ども時代を平成不況で過ごした。ギリギリ昭和生まれなので、「ギリ昭」とも言う。
・平成元(1989)~平成6(1994)年生まれの「ゆとり第二世代」は、パソコン、ケータイ・スマホに囲まれて育った「デジタルネイティブ世代」。
・長く続く平成不況の影響により、堅実な職業や生活を求める超安定志向。
・平成24(2012)年頃から、郊外や地方都市で、自分の生まれ故郷で仲間と遊ぶ「マイルドヤンキー」が出現。
・「車に乗らない」、「酒を飲まない」だけでなく、「モノを買わない」、「旅行に行かない」など、消費行動が消極的で冷めている。このため、「さとり世代」とも呼ばれる。
○ゆとり世代の家族・子育て観
・就職氷河期で「就活」の大変さを味わってきたため、ゆとり世代の女性は就職するよりも専業主婦を希望する人が多い。
・マイルドヤンキーは郊外や地方都市で暮らし、地元を離れることはない。実家に住み続ける人が多く、結婚後も二世代、三世代同居が当たり前。
・格差が激しくなったことで、恋愛・結婚に対して消極的。
・自分の時間と稼ぎは自分のために使いたいという意識が強いため、非婚・晩婚化。
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もちろん、前項のじいじ・ばあば世代評と同じく、「パパ・ママ世代はこう!」と決めてかかるのはよろしくありませんね。当サイトの趣旨も、じいじ・ばあば V.S. パパ・ママの対立図式をあげつらうものではありません。子育てをめぐって世代間の意見や考え方に食い違いが見られたときは、前回、今回の記事も参考に、相手のことも慮りながら解決の糸口を探っていくようにしたいものです。
(参考)
『日本初! たった1冊で誰とでもうまく付き合える世代論の教科書―「団塊世代」から「さとり世代」まで一気にわかる』阪本節郎/原田曜平:著