じいじ・ばあばはどんな世代?
2016.04.28
世代の違い
日本では、儒教の忠孝思想に基づいた「子は親に従うべし」という考え方が根強かったため、本音はどうあれ、親世代と祖父母世代が子育てを巡って直接ぶつかることはあまり見られませんでした。
ところが、平成に入ってからは、パパ・ママとじいじ・ばあばが対立する場面が多く見られるようです。
親子で話し合う土壌ができてきたということではありますが、これには戦後生まれの人が過ごした時代の背景が大きく影響しています。
現在、じいじ・ばあばは「団塊世代」「しらけ世代」「バブル世代」という3つの世代に分けられます。それぞれの時代背景と特徴、家族・子育て観を見てみましょう。
団塊世代
団塊世代は昭和22(1947)~24(1949)年 [広義では、昭和26(1951)年]に生まれた人たちをさします。現在67歳~69歳。
第二次世界大戦が終わり、兵士が復員してきて、同時期にたくさんの子どもが生まれました。これは世界的な現象であり、「第一次ベビーブーム世代」とも呼ばれます。
国立社会保障・人口問題研究所の「人口ピラミッド」(2015年の画像)を見ると、最も人口分布が大きく、左右に突き出ていることがわかります。次に多くなるのが、彼らの子どもである「団塊ジュニア世代」です。
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ(http://www.ipss.go.jp/)
○団塊世代の特徴
・日本にテレビが普及した頃に子ども時代を送り、アメリカのホームドラマを見て育った。
・小中高を通して1クラス50人以上で、同世代の数が多いため、競争意識が強い。一方で、同世代での仲間意識も強い。
・大学では多くの学生が学生運動、安保闘争、ベトナム反戦などの政治活動を行っていた。
・欧米文化(主にアメリカ文化)を取り入れ、日本の若者文化を作った。ジーンズやミニスカートなどを最初に着た世代。
・青年期に、「カミナリ族」「太陽族」「みゆき族」などが出現した。
○団塊世代の家族・子育て観
・見合い結婚と恋愛結婚の比率が逆転した世代。結婚後は親元から独立して、核家族となった。
・核家族化のため、「男は仕事、女は家庭」という意識が強く、最も専業主婦率が高い。
・20代~30代の頃には、友達のような夫婦、友達のような親子関係による「友達家族」を構成し、「ニューファミリー」と呼ばれた。
・男性は高度経済成長期、バブル景気に働き盛りだったため、家庭を顧みず、家事・育児をほとんどしてこなかった人が多い。そのため、熟年離婚など、定年後の夫婦のすれ違いも見られる。
・女性は子育てが一段落した後、再び働き出す「M字型就労」が顕著に見られる。
総務省「労働力調査(基本集計)」(年平均)より作成。
内閣府男女共同参画局、男女共同参画白書平成25年版、「女性の年齢階級労働力の世代による特徴」から抜粋。
しらけ世代
団塊世代の後の、昭和27(1952)~39(1964)年に生まれた世代。現在52歳~66歳。「ポスト団塊世代」とも言われ、昭和36(1961)~45(1970)年生まれは「新人類」とも呼ばれています。
○しらけ世代の特徴
・過激な政治活動を行った団塊世代への反動で、政治的無関心が広がり、「しらけ世代」と呼ばれた。何事にも「無気力・無関心・無責任」だと言われ、「三無主義」と称された。
・青年期に、「暴走族」「アンノン族」「竹の子族」などが出現した。
・『POPEYE』『ホットドックプレス』、『JJ』『anan』『non-no』など数多くの情報誌が購読され、「カタログ世代」と揶揄された。
・スポーツやレジャー、旅行など個人消費に熱心。
・ゲームやアニメ、マンガ好きで、興味のある分野に極端に傾倒し詳しい人が出てきて、「オタク」と呼ばれるようになった。
○しらけ世代の家族・子育て観
・「男は仕事、女は家庭」という意識はまだ残っていた。
・1980年代の女性の平均初婚年齢は25歳。25を過ぎると、途端に価値が下がり、安くなるなどと言われ、「女はクリスマスケーキ」と俗に言われた。
・結婚後も子どもを持たずに仕事を続ける共働き夫婦が増え、彼らはDINKs(Double Income No Kids)と呼ばれた。
・結婚にこだわらない価値観が広がり、生涯未婚率が男性2割、女性は1割に達している。
・男女平等意識、対等意識が広がり、家事や育児に協力的な男性が、団塊世代に比べると増加。
バブル世代
バブル世代は昭和40(1965)~45(1970)年生まれ。現在45歳から52歳。日本の高度経済成長期がピークを迎えた昭和40年代前半に生まれ、就職活動を迎える頃はバブル景気[昭和61(1986)~平成3(1991)年]だったため、多くの人があまり苦労せずに正社員になれた世代です。
○バブル世代の特徴
・中学高校時代に「ツッパリ」「ヤンキー」と呼ばれる不良グループが出現。シンガーソングライターの尾崎豊がこの世代。
・昭和61(1986)年に男女雇用機会均等法が施行。それまで女性労働者は結婚までの「腰掛け」と言われたが、総合職として男性と同等に働けるようになり、「キャリアウーマン」と呼ばれた。
・1980年代に女子大生ブームが起こり、OLとして働き出すと、退社後も派手に遊び歩く様子から「オヤジギャル」と呼ばれた。
・20代をバブル景気の真っただ中で過ごしたため、海外旅行でブランド品を買い漁るなど、派手な消費生活を送った。
・バブル崩壊による不況が始まると、リストラによる出向、派遣社員やフリーターになるなど、激しい浮き沈みを経験した人もいる。
○バブル世代の家族・子育て観
・男女雇用機会均等法の第一世代として、企業の女性活用にのって、現役でバリバリ活躍している女性が多い。
・理想の結婚相手として、三高(高学歴、高身長、高収入)の男性が求められた。
・子どもの教育についてもブランド志向で、1990年代前半、有名私立小学校の「お受験」ブームがまき起こった。
・1990年代後半、小学校で自己中心的で理不尽なクレームを入れる親が急増し、「モンスターペアレント」と呼ばれた。
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以上、昭和22(1947)~45(1970)年生まれの3つの世代を紹介しました。もちろん、この特徴がすべての人に当てはまるわけではありません。それぞれの世代に特徴がまたがっている人もいるでしょうし、一方、世の中の動きと関わりなく独自のライフスタイルを送っている人もいるでしょう。
ですが、子育てを巡って、「うちの親とは話が合わない」とか「じいじ・ばあばはなぜこんなことを言ってくるのだろう」と悩んだとき、「なるほど、うちのじいじ(ばあば)は団塊世代だから政治に特別関心が高いんだ」とか「じいじ(ばあば)はバブル世代だから、海外旅行が好きなのね」など、その考え方や行動パターンを理解するヒントとなるのではないでしょうか。
では、翻って、現在のパパ・ママはどんな世代なんでしょう。
じいじ・ばあばのために、次回はパパ・ママの世代をご紹介します。
(参考)
『日本初! たった1冊で誰とでもうまく付き合える世代論の教科書―「団塊世代」から「さとり世代」まで一気にわかる』
阪本節郎/原田曜平:著