産院選び
2016.01.14
里帰り出産
かつて日本では、「お産は実家で(里帰りして)」が一般的でした。これは他の先進国には見られない日本独特の慣習です。
出産から出産直後までの約3か月間、自分自身と子どもの世話をしてもらう「里帰り出産」は、核家族化が進んだ昭和40年代後半以降、都市部から地方の実家に里帰りして、実家近くの病院で出産するパターンとして多くなりました。
この里帰り出産。パパ・ママにとって、良いところ、良くないところがあります。
良いところは、実家の両親のもとでママがリラックスしてお産ができ、出産直後の子育てを手伝ってもらえること。
実の母親から直接赤ちゃんの扱い方を教えてもらえるし、食事や洗濯など身の回りの家事を負担してもらえるので、出産直後の身体を安静に保てます。
また、二人目以降のお産では、上の子の世話をしてもらえるというのも大きな利点でしょう。
良くないところとしては、妊娠初期にかかった産院とは別の産院で出産しなくてはならないということがあります。
そのほか、実の親だけに遠慮がなくてプライバシーが保てない、親との「子育てギャップ」で衝突する、自宅に一人残された夫が父親としての自覚をもちにくいなどがあります。
とはいえ、里帰り出産により、実家の親との関係が出産前より良好になることが多いため、今でも里帰り出産を希望するママが多数派となっているようです。
里帰り出産以外の選択
一方、近年ではあえて「里帰り出産」を選ばず、産前産後を夫と二人、あるいは一人で乗り切るママもいます。
里帰り出産をしなくなった理由のひとつとして、産院が減少していることがあげられます。
実家近くにあった産院が閉鎖したため、里帰り出産をあきらめたという人も多く、昭和59(1984)年と平成20(2008)年の全国の分娩実施施設数を比べると、24年間で6割近く減っています。
少子化が進む中で、分娩のスタイル、分娩時の呼吸法、アロマテラピーの利用など、差別化を図る産院も増えてきました。
食事内容など、ホテル並みのサービスが受けられる産院も出現しています。そのため、自分で綿密なバースプランを立てたうえで、それを実現できる産院をピンポイントで探し求めるママも増えています。
平成25(2013)年12月~平成26(2014)年1月、ユニ・チャームが実施したアンケートによれば、産院選びの参考にするのは、「友人・知人の口コミ」が46.9%で最も多いのですが、「親や親せきからの口コミ」33.0%と「インターネットの口コミ」32.7%が同じぐらいの割合です。
自分が思い描く理想の出産を求めて、遠方の産院に前もって入院する人も珍しくなくなりました。
ところで、里帰り出産でも自宅近くでの出産でも、出産後、自宅に戻ってからが子育ての本番となります。
パパはママ以上に子育てに慣れていないこともあり、しばらくは家事と育児でママがヘトヘトになることがあります。
そんなときに頼りになるのが、「産前産後期ヘルパー」。
これは産前産後期のまだ体調が整わない時期に、炊事、洗濯、買い物、掃除などの家事や授乳、おむつ交換、沐浴の補助、健診の付き添いなどの育児支援を行うヘルパーを派遣する事業で、多くの場合自治体で行っています。
家族のサポートが十分に得られない場合は、こうした公的サポートを利用するのもひとつの方法です。妊婦健診などで相談してみるといいでしょう。
日本の近隣国では、家族の支援を受けられない女性のための施設「産後調理院」(韓国)や「坐月子中心(産後護理之家)」(台湾)が都市部に広まっています。
日本では「産後ケアリスト」という比較的新しい資格も生まれているので、今後は日本でも産後ケア施設が増えていくかもしれませんね。
平成24(2012)年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況 – 厚生労働省
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