むかしはね! いまはね! どうする? 子育てギャップ

ラン活~ランドセルの争奪戦~

2016.09.22

 

男の子=「黒」、女の子=「赤」は昔の話

海外の大人が日本製のランドセルをもつことが、ここ数年ブームになっているそうです。
アメリカで人気の女優ズーイー・デシャネルがランドセルをアクセサリーとして取り入れたり、中国からの観光客が「日本のアニメで見たから」とランドセルをお土産に買い求めたりなどのニュースが、最新トレンドとして話題になりました。

日本では、ランドセルは小学生のシンボル的存在。
昭和の時代には、男の子は黒のランドセル、女の子は赤のランドセルというのが一般的でした。

ところが、近年、ランドセルはさまざまな色が販売されています。
たとえば、株式会社ハシモトの「フィットちゃんランドセル」は38色のカラー展開があり、全部で137種類のデザインが用意されています。

平成28(2016)年度の同社の調査結果を見ると、男の子に人気の色は、「クロ✕ブルー系コンビ」32%、「クロ」23%、「ブルーマリン系」11%、「クロ✕アカ系コンビ」7%、「シルバー系」「ゴールド系」ともに7%、「メタリックカラー系」6%、「その他」7%。
女の子に人気の色は、「チョココンビ」18%、「チェリー」16%、「ラベンダーコンビ」14%、「ピンク系」12%、「チョコブラウン」11%、「アクア系」10%、「クロコンビ」6%、「その他」13%。
※「コンビ」とは2色づかいのこと。

同じ「青」でも「ブルーマリン系」は男の子、「アクア系」は女の子に人気。今やランドセルを見て、「黒」「青」は男の子のもの、「赤」「ピンク」は女の子のものと単純に区別できなくなりました。

このようにランドセルの色のバリエーションが増えたのは、パパ・ママ世代が小学生だった1990年代頃から。
それが、平成22(2010)年にA4ファイルを入れられる少し大きめのランドセルが登場したことで、規格の変更にあわせて、ランドセルの色やデザインがより豊富になったのです。

冠(かぶせ)部分に柄やモチーフを入れたり、キャラクターなどの飾りが付いたり、内張りの柄に凝ったりなど、今のランドセルは驚くほどファッショナブル。

では、実際にランドセルを選ぶときには、誰の意見が最も重視されるのでしょうか。

 

一般的なランドセルの購入シーン

子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」を運営するアクトインディ株式会社では、平成28(2016)年2月1日~2月29日、全国の0歳~9歳までの子どもを持つ親に「ランドセル」についてアンケートを実施。

「ランドセル購入の最終決定者は誰ですか?」という質問では、「子ども」が最も多く64%。ついで「親」29%、「祖父母」7%という結果でした。

「ランドセルの購入費用は誰が支払いましたか?」という質問では、「全額祖父母」が最も多く62%。「全額親」が32%、「親と祖父母両方で負担」が6%で、約7割の家庭で、祖父母が孫の入学祝いにランドセルを買ってあげています。

さらに、「購入費用」については、「5万~6万円台39%、「3万~4万円台」30%、「3万円未満」20%という結果です。

「親がランドセル購入時に最も重視したこと」は、「機能性26%、「デザイン」16%、「重さ」16%、「素材」11%、「色」11%、「価格」9%、「安全性」6%、「その他」5%でした。

この調査で浮かび上がってくる一般的なランドセルの購入シーンとは、親がカタログなどで「機能性」「デザイン」「重さ」などを見比べて、ある程度絞り込み、その中から子どもの希望を聞いて、祖父母に「このランドセルがほしい」とおねだりさせるといったところでしょうか。

それにしてもランドセルの購入費用が5万~6万円台とは、大人のブランドバッグ並みの価格です。

いつ頃からランドセルはこのような価格になってきたのでしょうか。

 

ランドセルの平均価格

ランドセル工業会によると、昭和30(1955)年、ランドセルの平均価格は2,500円でした。それが昭和40(1965)年には3,600円に上がり、昭和50(1975)年、一気に10,000円の大台に上ります。

それから昭和61(1986)年23,000円、平成2(1990)年33,000円と、景気の上昇とともに、ランドセルの価格も急カーブを描いて上昇しましたが、バブル崩壊とともに、平成4(1992)年~16(2004)年までの12年間、ずっと35,000円をキープしていました。

そして、いったん平成18(2006)年には29,900円まで下がるのですが、再び上昇して、平成26(2014)年には42,400円まで上がっています。

ランドセルの平均価格

いったいなぜこの少子化の時代に、ランドセルが値上がりしているのでしょうか。

株式会社 船井総合研究所の岩崎剛幸さんによると、「革など素材原価が値上がりしているほかに、ニーズが多様化し、素材やデザインにこだわる親子が増加している」ことが理由なのだそう。

数年前まで、ランドセル選びは入学前の8月(お盆休み)からというのが常識でした。
ところが、近年は4~5月のGWから下見をして、早いうちに予約するのが当たり前になってきているのだとか。

たとえば、今人気の工房でのカスタムメイドのランドセルは、生産数が限られるので、予約段階で完売となります。
平成28(2016)年7月、「土屋鞄製造所」、「鞄工房山本」では、来春入学用のランドセルの注文受付日に、全国から注文が殺到して、システムがダウンし、ニュースになりました。

第一希望のランドセルが注文できなかった人は第二希望、第三希望へと流れ、そこでも争奪戦が繰り広げられています。
こうした親の行動を、ネットでは「ラン活」(ランドセル活動)と呼んでいます。

メーカーによっては「早期購入特典」や「早期割引」などのキャンペーンを行うこともあるので、小学校入学前の子どもがいて、「どうしてもこれ」といった強い希望があるならば、前の年の4~8月から「ラン活」を開始した方がよさそう。

自分が納得できるランドセルを購入するまで、人によっては一年待ちも辞さないそうですよ!

(参考)
137種38色から選べる人気のフィットちゃんランドセル 公式サイト

2016年度ランドセルの人気カラーランキング 子供とお出かけ情報「いこーよ」

ランドセルの価格・今昔|ランドセル・ヒストリー|ランドセル工業会

ランドセルがじわじわと値上がりしている理由

高級ランドセルの土屋鞄、「ラン活」人気でシステムダウン – ITmedia ビジネスオンライン

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