むかしはね! いまはね! どうする? 子育てギャップ

ママの体重管理

2015.09.16

 

赤ちゃんの分も食べる

妊娠初期から3ヶ月ぐらいは、多くのママが「つわり」という症状に悩まされます。食欲不振、吐き気、食べ物に対する嗜好の変化などで、「妊娠すると、酸っぱいものが食べたくなる」とよく言われました。

つわりの時期が過ぎると、食欲が増進することが多く、昭和のママは、「お腹の赤ちゃんの分」と言って、二人分の食事量をとり、出産後も体重が増加したままという人も珍しくありませんでした。

つわりの重い症状である「悪阻(おそ)」により、体重が激減する方が問題であり、体重が増えることについては、ある程度大らかに見られていたのです。
 

小さく生んで大きく育てる

現在、妊婦健診では、妊娠中の体重増加について、やせ気味の人は9~12kg標準体重の人は7~12kg肥満気味の人は5~7kg(医師の判断による)の範囲内と指導されています。

ところが、人気モデルやタレントが、妊娠中や出産直後もスリムな体型を保っていることが称賛されるようになり、若い女性の間に「小さく生んで大きく育てることが理想的」ととらえる風潮が広がりました。

昭和55(1980)年は男の子の平均出生体重は3.15kg、女の子は3.16kgでしたが、平成22(2010)年は男の子が3.01kg、女の子は2.93kgと年々減少しています。

さらに、2500g以下で生まれる赤ちゃんを「低出生体重児」といいますが、昭和55(1980)年は全体の5.2%だったのが、平成22年(2010)年には9.6%に増加。今や十人に一人がいわゆる「未熟児」なのです。

低出生体重児は通常より死亡率が高く、将来的に高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症しやすいと報告されています。

この調査報告は「成人病胎児期発生説」という学説となり、いま世界的に注目されています。

さらに、日本では、「二分脊椎症(にぶんせきついしょう)」の子どもが増えています。

これは脊椎が発達せず、下肢の神経が麻痺するなどが起こる先天性障害ですが、緑黄色野菜などに含まれる「葉酸」が不足すると、この障害が起こるリスクが高くなります。

先進国では唯一、日本だけが二分脊椎症の子どもが増加しているのですが、その直接的な原因である日本女性の「葉酸」不足が大きな問題となっています。

行き過ぎた体重管理は百害あって一利なし。お腹の子どものためにも、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。
 

<ここがポイント>

妊娠前の体型(BMI)を知っていますか。

BMI=体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

体重管理

<妊娠期・授乳期にプラスするカロリーのめやす>

妊娠初期(16週未満) +50kcal
妊娠中期(16~28週未満) +250kcal
妊娠後期(28週以上) +500kcal
授乳期 +450cal
(平成18年 厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」より)

(参考)

プレママタウン「妊娠中の貧食、体重管理」

読売新聞「「小さく産んで、大きく育てる」への警告 -成人病胎児期発症説を知ろう- 」

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