チャイルドシート(自動車)
2016.02.11
チャイルドシートのはじまり
赤ちゃんを自動車に乗せるとき、現在はチャイルドシートの使用が義務づけられています。では、昔はどうだったのでしょうか。
チャイルドシートは昭和38(1963)年、ドイツのシュトルヘンミューレ社(現レカロ社)が世界で初めて発売しました。
日本では、昭和58(1983)年、日本工業規格でチャイルドシートの規格が定められました。
その後、平成12(2000)年に改正された道路交通法により、6歳未満の乳幼児を自動車に乗車させる場合にチャイルドシートの使用が義務づけられたのです。
このため、前年の平成11(1999)年と同年、国内のチャイルドシート出荷台数は234万台、282万台と大きく増加。その後、平成13(2001)年以降は109~142万台で落ち着いています(一般社団法人日本自動車部品工業会調べ。着衣型は含まない)。
じいじ・ばあば世代が子育てをしていた頃は、乳幼児に特に何も装備させないで自動車に乗車させていたのです。平成4(1992)年11月に一般道での運転席・助手席でのシートベルトの着用が義務化されるまで、シートベルトをさせることも少なかったと思われます。今では考えられないですね。
そのため、じいじ・ばあば世代は、チャイルドシートに対して、どうしても否定的な見方をしがち。
「昔はチャイルドシートがなくても平気だった」
「退院のときぐらい、ママが抱っこしていればいいじゃない」
「チャイルドシートに子ども一人で座らせたら、かわいそう」
など、つい批判的なことを言ってしまうようです。
一方、パパ・ママの方も、チャイルドシートは必要と頭ではわかっていても、できれば使いたくないという人も多いようです。
ベビー用品メーカーのアップリカは、3歳未満の子どもを持つママ・パパと、出産を控えたプレママ・プレパパ800名を対象に、チャイルドシートに対する意識・実態調査を実施しました。
この調査でパパ・ママ世代が「チャイルドシートを使用しない」理由の第1位は、「赤ちゃんがかわいそうだから」。以下、2位「赤ちゃんが嫌がるから」、3位「同乗者がいて赤ちゃんを抱いてくれるから」でした。
道路交通法でも、チャイルドシートの使用義務が免除される場合として、「乗車人数より座席の数が少なく、チャイルドシートを固定できない場合」や「授乳などチャイルドシートを使用できない日常生活上の世話を行う場合」などを設定しているので、たとえチャイルドシートを持っていても、使わない場面があるのかもしれません。
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が行った「チャイルドシート使用状況全国調査2015」によれば、チャイルドシートの使用率は62.7%でした。
「まだ6割なの?」と思うかもしれませんが、平成20(2008)年以降順調に伸びて、使用率は過去最高に達しています。
自治体によっては、チャイルドシートの購入補助、貸出、リサイクルなどを行っているところもありますし、義務化してから15年が経過し、「チャイルドシートの重要性」が浸透してきた結果といえるでしょう。
チャイルドシートを使わないと、死亡重症率2倍!
警察庁「チャイルドシート使用有無別交通事故関連統計(平成26年中)」によると、6歳未満の乳幼児の自動車同乗中の死亡重傷率は、10年前の1.54%から1.21%に低下しています。これもチャイルドシートの普及によるものと思われます。
この統計によれば、チャイルドシート使用の死亡重傷率が0.96%に対して、不使用が1.98%。チャイルドシートを正しく使用した場合の死亡重傷率が0.73%に対して、間違って使用していた場合、4.35%でした。
つまり、チャイルドシートを使わなかった場合は使っていた場合の約2倍、間違って使用した場合は正しく使用した場合の約6倍に死亡重症率がはね上がるのです。
チャイルドシートと死亡重症率
・死亡重傷率=(死者数+重傷者数)÷死傷者数×100
この統計結果にドキッとした人はぜひこちらを見てください。
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)のサイトでは、「チャイルドシートを使わないと、こんなに危険」というコーナーで、ダミー人形を使った動画で解説しています。
自動車の衝突実験により、赤ちゃん人形が大きく前に投げ出される様子は、かなり衝撃的!
「チャイルドシートなんて必要ない」という人、一度ご覧になってください。
同サイト「はじめてのチャイルドシートクイックガイド」では、チャイルドシートの正しい購入について「妊娠~1歳」「1~4歳」「4~9歳」と、段階ごとに解説しています。
国内で自動車に正しい乗り方で乗せられている子どもは、わずか2割程度と言われています。チャイルドシートを購入したのに、自動車に正しく固定されていなかったり、子どもを正しい状態で座らせていなかったりすると、万が一事故に遭ったとき、十分な機能を発揮することができません。
チャイルドシートの正しい使い方を学ぶには、JAF開催の「チャイルドシート・チェックアップイベント」や各自治体、警察による交通安全教室が各地で開催されています。こうした機会を利用して、チャイルドシートを正しく装備し、使用できるようにしましょう。
また、里帰りなど一時的な使用の場合は、チャイルドシートをレンタルするという方法もあります。ダスキンレントオール かしてネッと、Babyrenta、愛育社のほか、地元の交通安全協会などに問い合わせてみてください。
(参考)
一般社団法人日本自動車部品工業会 (JAPIA)チャイルドシートの国内出荷台数
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)チャイルドシート使用状況全国調査2015
チャイルドシートを選ぶ前に知っておきたい大切なこと ベビーカー・チャイルドシートのアップリカ Aprica