授乳のスタンダード
2015.10.05
授乳は3時間おき!?
授乳には「計画授乳」(時間と量を決めて与える)と「自律授乳」(赤ちゃんが欲しがるとき欲しがるだけ与える)の2つの方法があります。
じいじ・ばあばが子育てをしていた頃は、みなさん計画授乳で授乳を行っていました。
粉ミルクであれば、哺乳ビンで赤ちゃんが飲んだ分量がわかるので、かなり厳密に授乳時間、与える分量、回数を守ることが可能だったからです。
昭和41(1966)年に日本で出版された『スポック博士の育児書』では、「授乳は3時間おき」とするように勧めており、産院によってはいまだにそう指導する場合もあるようです。
それに対し、母乳は基本的に自律授乳となりますが、母乳は粉ミルクに比べて消化吸収がいいので、授乳間隔が短くなり、最初は2時間おきに授乳することとなります。
計画授乳を行ってきたじいじ・ばあばにしてみれば、母乳育児をしているママはしょっちゅう授乳しているように見えます。
そのため、「そんなにいつもあげているから、おっぱいが出ないのよ」「赤ちゃんに振り回されているようではだめよ」などのママが傷つくような言葉をつい言ってしまいがち。
身内だからこそ、ズケズケ言ってしまうのかもしれませんが、子育てで忙しくテンパッているママに、ストレートな物言いは争いの火種となりかねません。おっぱいについて直言するのはやめておいた方がいいですね。
母乳育児では、生後まもなくは、1日に10回以上与えることが普通で、生後2週間目から1日に7~8回、2~3か月で1日に4~6回と、授乳回数はだんだん減っていきます。
おっぱいが足りているかどうかは、赤ちゃんの体重で判断できます。
平成22年度乳幼児身体発育調査「乳児の身体発育曲線」(厚生労働省)
※パーセンタイルとは、小さい方から順番に並べ、上の線は97パーセント値、下の線は3パーセント値です。線と線の間に94パーセントの子どもの値が入ります。
授乳回数や分量にあまり神経質にならず、赤ちゃんの泣き声や表情から、「そろそろおっぱいを欲しがる頃だな」とサインを読み取れるようになれば、授乳もだいぶ楽になってきます。
ママが大らかな気持ちで授乳できるように、周りは静かに見守ってあげましょう。
一般的な授乳スタイル
母乳を与えるときの赤ちゃんの抱き方は一般的に3つのスタイルがあります。横抱き、縦抱き、フットボール(ラグビー)抱きです。
○横抱き
もっともポピュラーな抱き方。赤ちゃんの顔がママの胸の高さになるように抱いて、母乳をあげる乳房の方の腕で、赤ちゃんをしっかり支えながら授乳します。
○縦抱き
赤ちゃんの首をしっかりと支えながら、ママの膝の上に向かい合わせで座らせます。しっかりとくわえさせることができるので、身体が小さい赤ちゃんに適しています。
○フットボール(ラグビー)抱き
フットボール(ラグビー)選手がボールを持つように赤ちゃんを脇に抱え、抱えた腕側の乳房で授乳します。
そのほかに、寝ているときに授乳する「添い寝」、二人いっぺんに授乳する「タンデム抱き」などがあります。
いつも同じ抱き方で与えていると、乳房に、飲まれる部分と飲まれにくい部分が生じます。慣れたスタイルの方が楽だからといって、飲まれにくい箇所をそのままにしておくと、母乳が詰まって、乳腺炎になることもあるので要注意。
赤ちゃんにおっぱいを与えるときは、できるだけ左右の乳房を均等の割合にして、意識的に抱き方を変えてあげるようにしましょう。
(参考)
『子育ての常識・非常識』保健同人社電話相談室 (著)、高橋悦二郎 (監修)、保健同人社