むかしはね! いまはね! どうする? 子育てギャップ

着せ替え人形

2016.06.30

 

昭和の人形遊び

女の子の室内遊びの定番といえば、着せ替え人形やおままごと!
ばあば世代が子どもの頃には、さまざまな人形が流行しました。たとえば、昭和29(1954)年発売のミルク飲み人形、昭和32(1957)年発売のビューティカール人形、昭和35(1960)年のだっこちゃん人形など。

ミルク飲み人形にはおもちゃの哺乳ビンがついていて、口から水を飲ませると、お尻から水が出てくる構造でした。なかでも、当時大人気だった子役スターの小鳩くるみをモデルにしたミルク飲み人形が大ヒット。
ビューティカール人形はヘアスタイルをいろいろな形に変えて遊べる人形です。青い目で金髪のビューティカール人形は、横に寝かせると自動的にまぶたが閉じて、まるで眠っているように見えました。
だっこちゃん人形は、手足が輪のようになっていて、若い女性が腕につけてアクセサリーがわりにする光景があちらこちらで見られたものです。

ミルク飲み人形を赤ちゃんに見立てて、子育てを疑似体験したり、ビューティカール人形の髪を結って、ヘアメイクを楽しんだりなど、子どもながら女子力をアップさせるアイテムが人形だったわけですが、やがて、着せ替え人形界のスターがアメリカと日本で次々に登場します。

昭和34(1959)年、アメリカでマテル社が「バービー」を発売しました。それまで、ほとんどの着せ替え人形が子どもの体型だったのに対し、バービーは大人の女性をモデルに作られました。バービーのモダンでファッショナブルなセンスをおしゃれ好きな女の子が支持し、アメリカで爆発的な人気を博しました。
日本では昭和37(1962)年に販売されましたが、小さい女の子の遊び相手としては、バービーの大人っぽいスタイルはあまり身近な存在ではなかったため、本国ほどの人気には至りませんでした。

そして、国産初のファッションドール(着せ替え人形)として、昭和41(1966)年に中嶋製作所が「スカーレットちゃん」を発売。その翌年には、タカラから「リカちゃん」が発売されました。

スカーレットちゃんがまだ外国人の女の子という設定を引きずっていたのに対し、リカちゃんは日本の小学5年生の女の子という設定で、顔だちも当時人気の少女マンガの主人公のように、長いまつ毛につぶらな瞳で、日本の少女たちに身近な存在として受け入れられました。

その後、リカちゃん人形は、日本の着せ替え人形の代名詞的存在となり、数年おきにモデルチェンジしています。今の子どもたちが遊んでいるのは、4代目リカちゃんで、すでにモデルチェンジしてから29年経過しています。

・初代リカちゃん 昭和42(1967)年~
・2代目リカちゃん 昭和42(1972)年~
・3代目リカちゃん 昭和56(1982)年~
・4代目リカちゃん 昭和62(1987)年~

もうすぐ発売から50年を迎えるリカちゃん。孫娘、ママ、ばあばの三代にわたって、それぞれ子どもの頃に遊んだ家庭も多いのではないでしょうか。今では、ばあばと孫とでリカちゃん人形で遊ぶ光景も普通に見かけるようになりました。
 

リカちゃんのおばあさん

おそらくご存じだと思いますが、リカちゃんシリーズでは、リカちゃんはもちろん、家族や友達などのキャラクターが細かく設定されています。

リカちゃんは本名が香山リカで、フランス人のパパ、ピエールと日本人のママ、織江との間に生まれたハーフの女の子。
双子の妹のミキとマキ、三つ子の弟妹のみく、かこ、げんというきょうだいがいます。

リカちゃんのパパ、香山ピエールは音楽家で、「イクメンオブザイヤー2014」キャラクター部門賞を受賞。ただいま1年間の育休中なのだそう。織江ママはファッションデザイナーなので、忙しいママに代わって、双子と三つ子の世話をしているのでしょうね。きっと。

このリカちゃんファミリーに、父方、母方、それぞれのおばあちゃんが存在することをご存じでしょうか。

まずは父方の祖母、エレーヌは、平成4(1992)年に登場しました。エレーヌはフランスのプロバンス地方在住なのですが、しばらく日本で暮らすことになったという設定で、「リカちゃんファミリーハウスいっしょにいてねおばあちゃん」も同時期に発売されています。この年は「リカちゃん発売開始25周年」でした。

そして、平成24(2012)年、母方の祖母として「だいすきなおばあちゃん」香山洋子が発売されました。洋子おばあちゃんは、リカちゃんの新しいおうちに隣接するカフェ「ロイヤルローズ」の女性オーナーという設定です。平成の女性が憧れる、いわゆる「サロネーゼ」(主に自宅などでサロン(教室)を開催して人気を博している女性)なのでしょうか。

リカちゃんの2人のおばあちゃんを見比べてみると、24年前に発売されたエレーヌが63歳で、いかにもおばあさん然としたルックスであったのに対し、洋子は56歳で、若々しく活動的な姿をしており、現役でバリバリ働いている女性です。

タカラでは「だいすきなおばあちゃん」の発売を機に、平成24(2012)年3月、全国の3~12歳の子どもの母親と祖母に「現代のおばあちゃん調査2012」を実施しました。

この調査によると、「おばあさまは現在働いていますか」という母親への問いに対し、「働いている」、「働いていないがボランティア活動をしている」という回答が合計で44.1%。65歳未満にしぼると、56.6%に上りました。
また、祖母に「現在あなたが心がけていることは何ですか?」と質問したところ、「健康」「美容」「食生活」などが多く挙がったそう。
香山洋子はまさしく平成の理想のおばあちゃん像を体現した存在といえるでしょう。

ファッションのみならず、家族、友人、ボーイフレンド、住まい、住んでいる街など、過去50年にわたり、日本の世相や流行を反映するとともに、少女たちの夢や理想を形にして現してきたリカちゃんシリーズ。

そこで気になるのが、じいじの存在です。
えっ、特に気にならない(笑)?
販売元タカラトミーの「リカちゃんファミリー家系図」を見ると、父方の祖父はアルベールという名で存在しますが、母方の祖父は空白のまま。
果たして来年の50周年のメモリアルイヤーには、満を持して母方のじいじが登場するでしょうか。ぜひそれを期待したいですね。

リカちゃんファミリー家系図

リカちゃんファミリー家系図:株式会社タカラトミー 報道資料より

(参考)
財団法人日本玩具文化財団

リカちゃん Wikipedia

リカちゃんのれきし|リカちゃんプロフィール|リカちゃん|タカラトミー

リカちゃんファミリーに母方の“おばあちゃん”と“大きなおうち”が新登場! 共同通信PRワイヤー

広瀬和也の「リカちゃん人形の世界」とリカちゃん  LittleBets!

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