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昭和の手遊び、平成の手遊び

2016.05.26

 

室内遊びの定番、手遊び

前回の記事では、外遊びの定番「鬼ごっこ」が、昭和と平成ではだいぶ様変わりしていることをご紹介しました。
今回は「室内遊び」です。「にらめっこ」にはじまり、「じゃんけんぽん」など、室内遊びでもっとも身近なのが「手遊び」。
道具がなくても、いつでもどこでも楽しめる手遊びは、大人になってからも記憶の片隅に残っている、ほとんどの人の共通体験でしょう。

保育所や幼稚園、小学校では、お遊戯やレクリエーションの中で手遊びに取り組みます。歌に合わせて決まった動作を繰り返す手遊びは、脳の発達を促し、手先の細かな動かし方、反射神経やリズム感などが自然に身に付くので、ぜひ家庭でも積極的に取り入れたいところ。

ところで、子どもの頃にみなさんが覚えた「手遊び歌」が、昔とは歌詞が変わっているものがあることをご存じでしょうか。
話題になっているものを、いくつかご紹介しましょう。
 

おべんとうばこのうた

「おべんとうばこのうた」は、作詞:香山美子、作曲:小森昭宏の童謡で、原曲は作詞・作曲者不詳です。
昭和53(1978)年に「こおろぎ’73」というユニットによるシングルレコードが発売されました。その後、NHKの子ども番組「おかあさんといっしょ」に使われたことで、全国の保育所や幼稚園で手遊びとして取り入れられました。

○昭和版(一部)(作詞:香山美子)

これっくらいの おべんとばこに
おにぎり おにぎり ちょいとつめて
きざみショウガに ゴマふりかけて
にんじんさん さんしょうさん
しいたけさん ごぼうさん
あなのあいたれんこんさん
すじのとおった フーキ

○平成版(一部)(作詞:不詳)

これっくらいの おべんとばこに
サンドイッチ サンドイッチ ちょいとならべ
からしバターに マヨネーズぬって
イチゴさん ハムさん
きゅうりさん トマトさん
まるいまるい さくらんぼさん
すじのはいった ベーコン

「手遊び歌」は、年代や地域によってアレンジされ、いつの間にか歌詞が変化したものが多いようです。
「おべんとうばこのうた」は、作詞家の香山美子(こうやまよしこ)さんが自身のサイトで、以下の間違いを指摘しています。

「おにぎり おにぎり ちょいと つめて」←正しい。
「おにぎりを 握り ちょいと つめて」 ←間違い。

「きざーみしょうがに ごま ふりかけて」←正しい。
「きざーみしょうがに ごま塩…」 ←間違い。

しかし、平成版「おべんとうばこのうた」である「サンドイッチバージョン」については、元の歌詞が不明。上記の他に「からしバターに 粉チーズ振って」や「レタスさん ハムさん きゅうりさん バナナさん」など、さまざまなパターンが存在するようです。
 

こどもとこどもがけんかして

手のひらを合わせ、歌に合わせて両手の指を順番に合わせていく「こどもとこどもがけんかして」。
この手遊びでは、歌詞も指を合わせる順番も、年代と地域によってだいぶ異なっています。

○ 昭和版

こどもとこどもがけんかして(小指)
くすりやさんにわらわれて(薬指)
おやたちでてもまだやめない(親指)
ひとさんたのんで(人差し指)
なかなおり(中指)

○ 平成版

こどもとこどもがけんかして〈小指〉
くすりやさんが、とめたけど〈薬指〉
なかなかなかなか、とまらない〈中指〉
ひとたちゃわらう〈人指し指〉
おやたちゃおこる〈親指〉

「こどもとこどもがけんかして」は「こどものけんか」「こどもとこども」などさまざまな呼び方があり、遊びの中では、けんかの仲裁人として、「もーりさん」「すっぺいさん」「いけばたメンダさん」など、具体的な名前が出てくるパターンがあるようです。
 

お寺の和尚さん

「せっせっせーの よいよいよい」で始まる「お寺の和尚さん」は、アレンジによって、だんだん歌詞が長くなっていく傾向があります。

○ 昭和版

せっせっせーの よいよいよい
お寺の和尚さんが
かぼちゃの種をまきました
芽が出て ふくらんで
花が咲いたら じゃんけんぽん!

○ 平成版

せっせっせーの よいよいよい
お寺の和尚さんが
かぼちゃの種をまきました
芽が出て ふくらんで
花が咲いて 枯れちゃって
忍法使って 空飛んで
東京タワーに ぶつかって
ぐるりと回って じゃんけんぽん!

この他に、「花が咲いて 実がなって カミナリごろごろ じゃんけんぽん!」や、「電信柱にぶつかって」などのパターンがあります。
 

ひげじいさん

保育所や幼稚園でよく歌われる『ひげじいさん』は、両手のこぶしをあごに当てて、あごひげを表したり、ほっぺたに当てて、こぶを表したりなど、登場人物の特徴を手の動きで表現する手遊びです。
昭和版では、「手はおひざ」で終わるので、子どもを行儀よくさせる教育的効果もあったようです。
平成版では、人気アニメ『アンパンマン』のキャラが勢ぞろいして、最後はにっこり笑うパターン。このほかに『ドラえもん』バージョンもあります。

○ 昭和版

トントントントン ひげじいさん
トントントントン こぶじいさん
トントントントン てんぐさん
トントントントン めがねさん
トントントントン 手はうえに
キラキラキラキラ 手はおひざ

○ 平成版

トントントントン アンパンマン
トントントントン しょくぱんまん
トントントントン カレーパンマン
トントントントン どきんちゃん
トントントントン バイキンマン
トントントントン ぼくチーズ
ワン!

これらの手遊びは、じいじ・ばあば世代にとっては、何十年かぶりに思い出したという人も多いのではないでしょうか。
昔と今の手遊び歌を歌い比べてみることで、家族同士のコミュニケーションになります。じいじ・ばあばの子どもの頃の思い出話に耳を傾ける、よいきっかけづくりにもなるので、ぜひ取り入れてみてください。

(参考)
手遊びの効果ってスゴイ!~子どもの心と体を育む活用のコツ~ 保育のお仕事レポート

おべんとうばこのうた – Wikipedia

「おべんとうばこのうた」の歌詞について

『おべんとうばこのうた』 – てあそびドットコム

お寺の和尚さん 童謡・わらべうた 歌詞と解説

おすすめ手遊び歌「ひげじいさん《アンパンマンver》」|cozre[コズレ] 子育てマガジン

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