むかしはね! いまはね! どうする? 子育てギャップ

おむつは布? 紙?

2015.11.02

 

布おむつ

赤ちゃんと聞いて、パッと思い浮かぶイメージは、お尻がぷっくりふくらんだ、愛らしいおむつ姿ですよね。

日本では、江戸時代から布おむつが使われていて、古着やさらし綿を使った輪型おむつが主でした。
昭和40年代頃、欧米で一般的だった三角に折ったおむつを安全ピンで留める「三角おむつ」が大流行しました。

ところが、日本では三角おむつを使っていて、股関節を脱臼する赤ちゃんが多く発生したため、昭和50年代以降、三角おむつではなく、「股おむつ」を使用するようにと、国が指導しました。
その数年後にテープ型紙おむつが発売され、瞬く間に布おむつは紙おむつに取って代わられるのです。

紙おむつ

日本で紙おむつが初めて発売されたのは、昭和20年代後半。
当時の紙おむつは、紙を布で包んだだけの簡易なもので、おむつカバーがなければ使えず、当時はまだ生活用品を使い捨てにする習慣がなかったので、あまり普及しませんでした。

昭和38(1963)年、赤ちゃんの肌に触れる部分には不織布が使われ、外側には防水紙を使った、現在使われているものとほぼ同じ機能や構造の紙おむつが発売されました。おむつカバーの中に使用するフラット型で10枚入り380円でした。

昭和52(1977)年、米国からおむつカバーとおむつの両方を兼ねたテープ型、立体裁断の紙おむつ「パンパース」が輸入・発売されました。
その4年後の昭和56(1981)年、国産のテープ型紙おむつ「ムーニー」がユニ・チャームより発売され、大ヒットとなります。

この頃の世帯当たりの消費支出は1ヵ月約20万円。
働く女性の数も昭和50(1975)年には1,170万人、昭和55(1980)年には1,350万人と急増していました。

洗濯の手間が省け、取り換えが簡単なテープ型紙おむつは、家事や育児の省力化を望む働くママたちにとって、救世主となりました。

そして、昭和58(1983)年、日本のおむつ業界に革命が起こります。
高分子吸水材を使った紙おむつが発売されたのです。
紙おむつの吸水性能が大幅に向上したことで、おむつの交換回数が劇的に減り、昭和57(1982)年に1日平均7.7枚使用していたものが、平成2(1990)年には5.5枚にまで減少しました。

材質だけではなく、おむつの形状の開発も進みます。
テープ型やフラット型のほかに、平成2(1990)年、パンツ型トレーニング用おむつ「トレパンマン」(ユニ・チャーム)が登場します。
パンツ型の紙おむつは、おむつ外し用やおねしょ防止用など、さまざまな年齢・目的に応じた製品が作られています。

紙おむつが高機能になり、年齢に応じた大きさ、形状が選べるようになったことで、おむつにかける手間は格段に少なくなりました。

平成26(2014)年、日本の紙おむつが高品質であると評判になり、中国人観光客が「爆買」して、商品が一時品薄になったのは、記憶に新しい出来事です。

一方で、エコロジーごみ問題肌触りなどの観点から、布おむつを見直す動きも広がっています。
なんといっても、紙おむつに比べると、布おむつは経済的。
最初こそ布おむつを30~50枚そろえておく必要がありますが、何度も洗って使えるので、使い捨ての紙おむつに比べると、ずっとお財布にやさしいことは確か。
布おむつの場合、赤ちゃんがお尻が濡れて不快だということがわかるので、おむつ外しがしやすいというメリットがあります。

布おむつ、紙おむつ、それぞれに長所・短所がありますから、賢く使い分けしていきたいですね。

布おむつと紙おむつを比べてみると

<布おむつ>
メリット

・同じおむつを何度も長く使える(リサイクル可能)
・交換回数が多くなるので、赤ちゃんと対面する機会が増える
・排泄のタイミングに敏感になる
・排尿や排便の量や回数、状態などの変化がわかりやすい

デメリット

・基本的に排泄のたびに交換するので、紙おむつに比べて交換回数が多い
・下洗い、洗濯、干す、たたむなど手間がかかる
・おむつを干す場所が必要であり、乾くまで時間がかかる
・外出先でおむつを変えた場合、汚れたおむつを必ず持ち帰る必要がある

<紙おむつ>
メリット

・尿や便を吸収した後も比較的肌触りがサラッとしている
・尿や便をたくさん吸収できる
・大人のタイミングで交換が可能

デメリット

・定期的に購入しなければいけないし、買い物時は大荷物になる(軽いけど)
・収納に場所をとる
・ゴミ捨て時に手間がかかる
・商品によって、合う・合わないの相性がある

(参考)

一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 紙おむつ・軽失禁

経済産業省「なるほど!ケミカル・ワンダータウン」紙おむつの歴史

おむつのトリビア │ クックパッドベビー

紙おむつより、布おむつがいい?三角おむつは、股関節脱臼の予防にいい? 愛育ねっと

『子育ての常識・非常識 どっちが正しいの!? 育児の世代対抗戦』
保健同人社電話相談室 (著)、高橋悦二郎 (監修)、保健同人社

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