むかしはね! いまはね! どうする? 子育てギャップ

いつも人気の外遊び「鬼ごっこ」

2016.05.19

 

鬼ごっこの3パターン

昔も今も、子どもたちが広場などに集まると、誰が言うともなく始まる「鬼ごっこ(鬼遊び)」。
性別、年齢を問わず、全員が参加できる鬼ごっこは、江戸時代の文献にも記載が見られる伝承遊びです。
鬼ごっこは2人以上が参加し、鬼がタッチしたら、タッチされた子が鬼になる、というのが基本的なルール。

児童文学者・絵本作家の加古里子(かこさとし)さんは、50年以上にわたり日本の伝承遊びを研究し、著書『伝承遊び考』(小峰書店、2008年)にまとめました。
加古さんによれば、鬼ごっこは大きく3つのパターンに分けられます。

1.人とりおに型……子を鬼が追いかけ、捕まえることを主軸とする。手つなぎ鬼、缶けり、かくれんぼ など。
2.道具・場所おに型……子や鬼が小物や器具、場所、地形を使用する。
色鬼、高鬼、木鬼、島鬼、Sケン など。
3.集団遊戯おに型……子や鬼が数人の組や小集団として行動する。
ドロケー、だるまさんがころんだ、氷鬼、陣取り、鬼さんこちら など。

※ドロケーはケイドロ、ドロジュン、ジュンドロなど、さまざまな呼び方があります。「警察(巡査)と泥棒」の略。

鬼ごっこのルールは常に同じではなく、子どもたちが新たにルールを設定して、その地域ならではの鬼ごっこを新たに創造することも多かったようです。
加古さんは「鬼ごっこの基本形は約500あり、それぞれ4~6の異種があるため、2000以上ある」と記しています。

じいじ・ばあば世代は、家庭にテレビが普及した頃に子ども時代を送りましたが、外では元気に鬼ごっこで遊んでいました。
足が遅い小さい子どもたちは、捕まっても鬼にならないハンデを設定することもあり、そうした特別待遇の子どもは「ごまめ」「おまめ」「みそっかす」「おみそ」などと呼ばれました。
日本の子どもたちはそうやって、鬼ごっこを通じてノーマライゼーションの考え方を身に着けていったのかもしれませんね。

 

パパ・ママの、子どもの頃の外遊び

ミキハウス子育て総研による育児・子育て支援サイト「ハッピー・ノート ドットコム」では、毎週ユーザーにアンケート調査を行っています。Weekly ゴーゴーリサーチ第689回(2015年2月~3月調査)のテーマは「子どもに伝えたい“あそび”は?」でした。

同調査の、「自分が小さい頃(小学校低学年まで)に、よくやった外あそびはなんですか?(5つまで)」という質問では、「鬼ごっこ(高鬼など)(65.2%)」、 「かくれんぼ(60.3%)」、 「だるまさんがころんだ(57.9%)」、 「なわとび(42.4%)」 、 「ドロケー(31.3%)」 、 「ゴムとび(30.6%)」 、 「花いちもんめ(30.5%)」 、 「缶けり(27.3%)」、 「ボール遊び(26.3%)」、「しゃぼん玉」(19.9%)がトップ10でした。

トップ3の「鬼ごっこ(高鬼など)」「かくれんぼ」「だるまさんがころんだ」は6割が「よくやった」と答えており、「ドロケー」「缶けり」も上位に入っていて、パパ・ママ世代も外で遊ぶときは、もっぱら鬼ごっこで遊ぶことが多かったようです。

 

最近の鬼ごっこ

平成以降、子どもたちの遊び場所が変わるなどで鬼ごっこが変化するなか、保育所・幼稚園や小学校の子どもたちに人気の新しい鬼ごっこを紹介しましょう。

○氷鬼(凍り鬼)

1.じゃんけんなどで、鬼を決めます。鬼が決められた数を数えている間、他の子は逃げます。
2.鬼は逃げる子を走って追いかけ、タッチします。
3.鬼にタッチされたら、その子は凍ったように動けなくなります。
4.捕まっていない子が、凍った子の肩をタッチすると、その子は「解凍」されて逃げることができます。2人1組で凍った子を挟んで、電子レンジで解凍するように「チン」と叫ぶバージョンもあります。
5.鬼がすべての子を凍った状態にできたら、終了です。

○バナナ鬼

1.じゃんけんなどで、鬼を決めます。鬼が決められた数を数えている間、他の子は逃げます。
2.逃げる子は、鬼にタッチされるとバナナになってしまいます(立ったまま両手を頭上で合わせ、動けない状態)。
3.捕まっていない子は、バナナになった子を助けることができます。2人1組になって、まるでバナナの皮をむくように、「むき」「むき」と言いながら、両側からバナナになった子の腕を下げます。
5.鬼が全員をバナナの状態にできたら、終了です。

○だるまさんの一日

「だるまさんがころんだ」の新バージョンです。
1.基本ルールは「だるまさんがころんだ」と同じです。
2.鬼は、「だるまさんがころんだ」というかわりに、「だるまさんが○○した」と叫んでふり返ります。例えば、「だるまさんが歯をみがいた」「だるまさんがお茶飲んだ」などです。
3.子はその場で鬼が言った通りのジェスチャーをしたまま、立ち止まらないとアウト。鬼に捕まって、鬼と手をつないで一緒に並びます。
4.鬼の指示をクリアしながら、子は鬼に近づいていき、子が鬼にタッチしたら、鬼の負けです。

近年は外遊びをする機会が減ったことで、子どもたちの運動不足が問題になっています。
鬼ごっこで、子どもたちは全力で走る、急にストップする、追手をかわすなどの全身の動きを体得します。
同時に遊びのルールを覚えることで、社会性や協調性、集団行動の基本を身につけます。
鬼ごっこに熱中することで、他の子どもたちとの仲間意識や友情なども自然に芽生えてくるでしょう。

真剣に遊ぶと実はハードな運動になる「鬼ごっこ」。時には童心に帰って、子どもと一緒に鬼ごっこをしてみませんか? (準備運動をくれぐれも忘れずに!)

(参考)
子どもの遊びを考える|札幌大学 増田敦

子どもに伝えたい“あそび”は?|第689回|ハッピー・ノート.com

『おにごっこ-その1-』 – みんなで遊ぼう‐遊ぼう会

前へ 次へ