むかしはね! いまはね! どうする? 子育てギャップ

パパ・ママとじいじ・ばあばの相性診断

2016.05.12

 

貧乏くじを引かされた? パパ・ママ世代

前回、前々回でじいじ・ばあば、パパ・ママ、それぞれの世代について、生まれ育った時代背景と特徴、家族観を解説しました。

ごく簡単にまとめると、日本経済が右肩上がりで好景気の昭和後期に子育てをしてきたじいじ・ばあば世代、それに対してバブル崩壊後の長く続く平成不況に子育てしているのがパパ・ママ世代。

公教育では、「詰め込み教育」と批判されるほど、多くのカリキュラムを消化してきたじいじ・ばあば世代に対して、「ゆとり」を重視した学習指導要領により、年ごとに薄くなった教科書で学んだのがパパ・ママ世代。子どもの学力が低下したと騒がれたことで、すぐに「脱ゆとり教育」へと路線変更したので、ゆとり世代の下の世代は「脱ゆとり世代」と呼ばれています。

今のパパ・ママ世代が、さまざまな面で「割を食った」、「貧乏くじを引かされた」と思うのも、ある意味仕方がないことかもしれません。
じいじ・ばあばが若い世代とのコミュニケーションを図ろうと、受験の苦労話や若い頃の景気がよかった頃の話をしても、パパ・ママの反応がイマイチにぶくなってしまうのは、こうした事情のためなのでしょう。

しかし、なかなか話がかみ合わない世代同士がある一方で、共通項が多く、話が合いやすい世代もあるように思えます。では、どの世代とどの世代の組み合わせが比較的相性がいいのでしょう。

 

相性がいいのは、どの世代?

じいじ・ばあばの3世代、パパ・ママの3世代で、組み合わせは9通りあります。ひとつ、相性診断をしてみましょう。

※表をクリックすると、拡大表示されます。

相性診断表
○団塊世代 ✕ 団塊ジュニア世代 →A
団塊世代の両親と団塊ジュニア世代の子どもは「友達家族」と言われ、特に母と娘は「一卵性母娘」と呼ばれるほど仲がよく、結婚後もその関係性を継続させます。団塊世代は団塊ジュニア世代の子育てを、物心両面からバックアップするので、最もよい相性といえます。

○団塊世代 ✕ ミニマムライフ世代 →C
団塊世代とミニマムライフ世代は、価値観が真逆です。「一国一城の主」として、家を建ててこそ一人前と考える団塊世代と、将来の不安に備えて賃貸をよしとするミニマムライフ世代。まるで水と油ですが、「断捨離」をキーワードにすれば、両者の関係は一歩前進できるかもしれません。

○団塊世代 ✕ ゆとり世代 →B
かつてニューファミリーという家族像を作り上げた団塊世代と、マイルドヤンキーという実家が大好きなゆとり世代とは、親和性があります。「政治活動に熱心」という共通項があるので、興味や関心事が一致すれば、朝まで生討論できるほど仲よくなれる可能性があります。

○しらけ世代 ✕ 団塊ジュニア世代 →B
共に「自分探し」「自己啓発」が好きという共通項があるので、ヨガやエコロジー、パワースポット巡りなど、趣味が一致しやすい相手です。基本的には個人主義、放任主義のしらけ世代ですが、孫となると話は別。共働き志向の団塊ジュニア世代のために、しらけ世代が積極的に孫の面倒を見ます。

○しらけ世代 ✕ ミニマムライフ世代 →A
個人生活優先のしらけ世代と束縛を嫌うミニマムライフ世代は、お互いに干渉したくない(されたくない)という意識があるので、あまり衝突することがありません。将来に備えて消費を控えているミニマムライフ世代のために、しらけ世代が経済的にバックアップすることで、関係性は良好となります。

○しらけ世代 ✕ ゆとり世代 →A
若い頃に情報誌通りのデートコースを巡ったしらけ世代と、ネットでの情報検索に長けているゆとり世代は、新旧の「マニュアル世代」。知識のぶつけ合いになると角が立つので、話題の中心をしらけ世代のライフスキルに置くと、丸く収まることが多いようです。

○バブル世代 ✕ 団塊ジュニア世代 →B
団塊ジュニア世代は子どもの頃のバブルの記憶を引きずっているので、どちらも「ブランド志向」という共通項があります。子ども(孫)の教育に人一倍熱心ですが、それで子ども(孫)がスポイルされないように、どちらかが警戒する必要があります。

○バブル世代 ✕ ミニマムライフ世代 →C
消費大好きのバブル世代に対して、嫌消費のミニマムライフ世代。次々に高額商品を購入するバブル世代を、ミニマムライフ世代は「モッタイナイ」と感じています。上昇志向が強いバブル世代の発言は、ミニマムライフ世代にとって耳障りなことが多いので、スープが冷めるぐらいの距離感があった方がいいでしょう。

○バブル世代 ✕ ゆとり世代  →C
苦労せずに就職できたバブル世代と、苦労せずに大学入学できたゆとり世代。「苦労知らず」という点で他世代の妬みを買っています。しかし、すべてにポジティブなバブル世代に対して、ネガティブすぎて「さとり」の境地にいるゆとり世代とでは、話がかみ合いにくく、敬遠し合う間柄になりがちです。

さてさて、この診断は編集部の独断と偏見による裁定で、必ずしも真実ではないでしょう。
そもそも、実の親子でも相性ピッタリということはあまりないのかもしれません。「話が合わない」と思っても、コミュニケーションをとることをやめたら、良好な関係を築くことは一生不可能です。
何か共有できる話題、例えば「子ども(孫)」のエピソードを通してなど、お互いに歩み寄る姿勢こそが大事。

時代が変わっても、子どもを育てていく上で味わう驚きや喜び、苦悩や充実感は、誰もが感じる普遍的な感情であり、もっと言うと、万国共通のものです。
孫育てを通して、じいじ・ばあばは初めて子育てしたときの感動を追体験できるし、パパ・ママはじいじ・ばあばの親身のアドバイスによって元気づけられる場面も多いでしょう。

そういう意味で、子ども(孫)は、最高の会話の潤滑剤です。お互いに「ギャップ」を感じなくなるぐらい、胸襟を開いて話せるようになるといいですね。

(参考)
『日本初! たった1冊で誰とでもうまく付き合える世代論の教科書―「団塊世代」から「さとり世代」まで一気にわかる』阪本節郎/原田曜平:著

世代 – Wikipedia

前へ 次へ