急な発熱
2015.12.31
子どもの知恵熱
子育てをしていて、誰もが経験するのは、夜中の発熱でしょう。
咳やくしゃみ、鼻水などの前兆もなく、赤ちゃんは突然38度以上の高熱を出すことがよくあります。日本では昔からこうした原因不明の発熱を「知恵熱」と呼んできました。
英語圏ではteething feverと呼んでいます。teethingとは「乳歯が生える」という意味で、歯が生え始める6か月頃から1才頃、突然赤ちゃんが高熱を出すのは万国共通のようです。
赤ちゃんは生まれた直後は母親からの免疫を受け継いでいるので、周りの雑菌やウイルスに対して、ある程度抵抗力があります。これを「母親からの移行抗体」と言います。この移行抗体により、生後6か月頃まではそれほど高熱を出さないでいられます。
ところが、6か月を過ぎた頃からこの移行抗体の効きめが弱まることで、感染症にかかりやすくなります。このため、保育園に預けるなどで外部との接触が多くなると、たびたびの発熱に見舞われます。
こうした時期、夜中に突然子どもの顔が真っ赤になっているのを見て、パパ・ママが慌てふためくのは、よく見られる光景。場合によっては、急患として近所の病院に駆け込むことがあるかもしれません。
昭和の時代には、「高熱が続くと脳炎になる」と言われ、子どもでも強めの解熱剤が処方されていました。
しかし、現在は発熱に関する研究が進み、通常40度以下であれば、発熱が続いても後遺症を残すことはないことがわかりました。
脳への後遺症が心配されるのは「細菌性髄膜炎」ですが、これは細菌が髄膜に入ることによって障害が残るのであって、発熱が直接の原因とはなりません。細菌性髄膜炎を防ぐには、予防接種を受ける必要があります。
発熱は、細菌やウイルスの活動を抑える生体防御反応です。現在、発熱は体にとっては有益なものと捉えられており、薬で発熱を無理に抑えると、かえって治りが遅くなる場合があります。
高熱を出したときの対処
じいじ・ばあばが子育てをしていた時代は、子どもが熱を出したら、とにかく汗を出せば、熱が下がると信じられていました。
そのため、布団を何枚もかけて、下着やパジャマを何度も着替えさせるということもありました。
しかし、熱が出ているときに、無理に発汗させるのは、身体への負担が大きく、抵抗力が落ちるだけなので、今はこうした処置は行われていません。
熱の上がりはじめは寒気を感じるので、毛布を一枚多くするなどで温かくしますが、体温が37度以上になって、寝苦しそうにしていたら、全身にこもった熱を冷ますように手当をします。
昔は氷嚢などでおでこを冷やしていましたが、今はおでこよりも首の後ろや脇の下、内股など大動脈が通っている箇所に水枕やアイスバッグを置き、効率的に冷やすようになりました。
また、昔は風邪を引いたときは、お風呂に入れるのを避けたものですが、冬場でも風呂場と他の部屋との間に極端な温度差がなく、長湯さえしなければ、お風呂に入れてもかまいません。
そして、高熱が出たときは、栄養よりも水分をとらせることが第一。一般的に食欲が落ちるので、まずは栄養のバランスよりも、子どもが食べたがるものをあげるようにしましょう。
(参考)
子どもの知恵熱とは child’s sickness 症状別よくある子供の病気と対処法
岐阜県『孫育てガイドブック ~孫でマゴマゴしたときに読む本』
『子育てハッピーアドバイス 初孫』
明橋大二 (著)、吉崎達郎 (著)、1万年堂出版